🌱 「子どもがスマホを見るのは本当に“悪”なのか？」

― スマホ育児批判は、“正義”か“怠慢”か ―

こんにちは。ことばと発達の相談室から、今日も育児のリアルに寄り添うお話をお届けします。

今回は、いわゆるスマホ育児に関するお話です。

私が大学に勤務していたころに掘り下げて取り組んだ研究領域です。

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◆「スマホばかり見せて…」と言われたあなたへ

たとえば、こんなことってありませんか？

・外食先で子どもがぐずり出して、ついスマホで動画を見せた
・家事や在宅ワークの間に、タブレットに頼った
・寝不足で何も考えられなくなって、スマホに救われた

でも、その瞬間にふと湧く罪悪感。「また、見せてしまった…」「これって、ダメなんだよね？」

さらに追い打ちをかけるように、ネットやテレビではこんな声が飛び交います。

「スマホ育児は脳を壊す」
「スクリーンに頼るのは親の怠慢」
「昔はそんなもの無くても子どもは育った」

…本当に、そうなのでしょうか？

◆ “悪影響”と謳う研究の「本当の読み方」

確かに、子どものスクリーンタイムに関する研究はたくさんあります。
「見せすぎると発達に悪い」と結論づけるものもあります。

たとえば日本のある大学では、1歳時点で長時間スマホを使っていた子は、2歳時に「コミュニケーション能力」が低下していたというデータが出ています。

でも、ここで忘れてはいけないのが、
これらの研究の多くは“相関関係”であって、“因果関係”ではないということ。

つまり、

「スマホを見せたから発達が遅れた」とは言い切れないのです。

むしろ、「言葉の発達に不安があったから、親がスマホでトレーニングしていた」というケースも、現場レベルではたくさんあります。

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◆ 実は「良い影響」を示す研究もある

「教育番組を一緒に見ることで語彙が増えた」
「音楽アプリで発音がよくなった」
「動画視聴をきっかけに、自分から話すようになった」

こうした実例も、科学的にちゃんと報告されています。

・セサミストリート（米国）を見て育った子は、語彙と読解力が高く、学校適応も良好というデータがあります。
・親子で一緒に見る“共同視聴”を通して、子どもの理解力が高まることも報告されています（JAMA Pediatrics など）。

つまり、
「何を見るか」「どう使うか」によって、スマホは“薬”にもなりうるのです。

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◆ じゃあ、なぜ“悪”だと言われるのか？

それは、おそらくこうした理由が背景にあります。

• 『スマホ＝子どもに無関心な親』、というイメージ

• 子どもが静かにしていると、見た目上“楽してる”ように見えてしまう。

• 昔はなかったものだから「信用できない」

でも、こうした声にはひとつ欠けている視点があります。

“親自身のしんどさ”を周りの大人が見ようとしていないのです。

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◆ 批判されるべきは「スマホ」じゃない

最近、支援者や専門家の一部にさえも「スクリーン＝悪」と言い切る人がたくさんいます。
でも、私たちは現場で知っています。

・夜泣きと格闘し、まともに食事もできないまま数ヶ月過ごしている母親
・障害のあるきょうだいの通院と、下の子の世話で余裕ゼロの家庭
・虐待まがいの叱責が飛び交う中で、唯一静かにできる手段が動画だった家庭

そんな現場に寄り添わず、「スマホをやめろ」とだけ言う支援者がいたとしたら、
それは“支援者”ではなく、“傍観者”ではないでしょうか？

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◆ スマホを見せる育児ではなく、「スマホと共に育つ」育児へ

これからの育児は、単に「見せる／見せない」の二択ではなく、どう関わるか、どう選ぶか、どう話すかに移行していくべきです。

スマホを見せてもいい。
でも、見せたまま放っておくのではなく、
「何見てるの？」「面白かった？」と、声をかけること。
それが、子どもの言葉と心を伸ばす最初のステップとなります。

📌工夫	具体例
🔍 内容を選ぶ	子ども向け教育番組、音楽、絵本アプリを活用しよう
🧑‍🤝‍🧑 一緒に見る	親子で一緒に見て、感想を言い合おう
🗓️ 時間を決める	「夕方だけ」「ごはん前だけ」など1日のスケジュールに組み込もう
🧠 声かけを添える	「どんなお話だった？」「それ、やってみようか」など対話を添えて

✋最後に．．あなたに問いかけたいこと

スマホを使うことは、あなたが育児を放棄した証ではありません。

むしろ、限られた中でベストを尽くそうとしている証拠です。

私たちは、親を責める社会ではなく、
親に寄り添い、力を引き出す社会をつくっていきたい。

「スマホ育児」を悪と決めつけるのではなく、その背景と可能性を見つめ直すことが大切と考えます。

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