子ども・子育て支援の現状と課題
少子化と育児の多様化が進むなか、子ども一人ひとりに目を向けた支援体制の構築は急務です。
柳川市では「第3期子ども・子育て支援事業計画 https:://www.city.yanagawa.fukuoka.jp/kosodate/kosodate-shien/9496.html」が策定されましたが、果たしてその中身は、発達に支援が必要な子どもたちとその家族にとって十分なものでしょうか? 柳川市が実施した子育て支援アンケートでは、次のような結果が見られています。
✅子育て中のパパ・ママより
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・勉強や成績のことが心配:54%
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・友人関係が心配:56%
- ・健康や性格、癖などが心配である:30.2%
- ・ふれあいやしつけが十分できない:18.4%
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・子育ては親の責任といわれ、不安と負担を感じる:16.4%
- ・子どもの気持ちがつかめず、接し方がわからない:7.5%
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✅関係団体のヒアリングより ※弊社のような『児童発達支援事業所』は調査対象者には入っていません
・教育、保育施設と療育施設、行政で、該当家庭や児童の情報共有ができずに包括的な支援につながらないケースが多く、情報共有がスムーズにできる体制が必要。
・学校へ相談または解決が因難な場合、学校教育支援センターがアプローチを行うことで、スムーズな課題解決につなげており、教育・療育両側面で良い影響を与えていると感じる。
・子どもの発達や接し方について相談を受けることがある。
・多動傾向が強い子どもや、衝動性が強い子ども、暴力的な関わりが多い子ども、言語理解が遅れている子ども、基本的生活習慣が年齢相応に発達してない子どもなどが在籍しており、対応が難しい。
・母親の子どもへの言葉かけの口調が荒く、子どもが萎縮しているように感じる場面を見ることがある。
・精神的に不安定な保護者もおり、子育てに困難を感じている。子育てが極端に苦手な保護者もいる。
・行政や団体が協働し、保護者を対象としたペアレントトレーニングなど、保護者への教育を充実していく必要がある。
(出典:柳川市「第3期子ども・子育て支援事業計画」、令和6年)
柳川市では現在、少子化の進行と人口減少、相対的貧困、子どもの虐待・不登校の増加など、子どもを取り巻く環境はますます厳しさを増しています。私たちは、子ども一人ひとりの育ちや特性を尊重し、地域社会全体で育てていける環境が求められていると考えています。
しかし、現在の市の支援体制には以下のような課題があることが分かります。
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✅教育・保育・療育・福祉間の情報共有が不十分
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✅発達支援の中核拠点について不明確(担うべき役割と専門家の配置状況、支援の対象範囲)
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✅学校・保育現場でのインクルーシブ対応の実施が限定的
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✅支援の効果を図る質的評価の仕組みが存在しない
■ 本市の実態
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「子育てと仕事の両立が大変」と答えた保護者が55.2%、困窮家庭では「教育費が不安」64.9%、「子どもとの接し方がわからない」「相談相手がいない」などの育児に対する孤立感も浮き彫りになっています。
子どもだけの問題ではなく親子丸ごと支援の推進を、地域社会全体で行う必要があると改めて感じました。
長野県東御市では、「子ども支援会議」で個別支援を多職種連携で運用(東御市「子ども応援プラン」2021)、東京都杉並区の取り組みには、保育施設へのST・OT巡回支援制度を確立。年700件以上の実績をあげた(杉並区「障害児保育の実践」2023)等の報告があります。どちらも、「制度化」「継続的支援」「専門職の介入」を実現している点で非常に示唆に富んでいます。
■ 最後に
柳川市が目指す「ともにはぐくみ、支える、子育てのまち」。
それを実現するためには、今まさに"つながる支援"と"支援の見える化"が必要です。
私たち「ことばと発達の相談室」は、地域の皆様と共に、未来を担う子どもたちの育ちを支えるインフラの一翼を担ってまいります。
ご賛同いただける方、関心をお持ちの方は、ぜひご意見・ご感想をお寄せください。